キャンプギアの材料に使用されるチタン(チタニウム)とアルミ(アルミニウム)。
どちらも軽く、登山やキャンプで使う人も多いのではないでしょうか。
しかし、ただ「軽い」というだけでは二つの違いはわかりませんよね。
チタンとアルミ、どんな違いがあるのでしょうか。
軽くて頑丈なチタン
一言でいうと、チタンは一生モノとして使える金属です。
軽いのに頑丈、耐食性に強くサビにくい性質を持っています。
金属臭がしないため、飲み物や食べ物の味を損ないません。
チタンは空気中の酸素と反応し、酸化被膜を形成します。この膜により金属イオンが溶け出さず、サビの発生を抑え、金属アレルギーも引き起こしにくいというわけです。
もともと、飛行機の部品や医療分野で使われていたことも、頑丈でアレルギーを引き起こしにくいという理由からきています。
ただ、チタンは高価で加工も難しいことから商品の価格も高くなりがちです。
軽くて汎用性の高いアルミ
アルミはボーキサイトという鉱石を原料とした金属で、鉄に次ぐ第二の金属ともいわれています。
軽く、サビにくい点ではチタンと似ていて、金属の比重をみると、チタンは4.5g/㎤、アルミは2.7g/㎤というようにアルミの方が軽いです。
チタンと同じように空気中の酸素と反応して膜を作るのでサビにくくなっています。
熱伝導率が高いので気温が低い場所でも比較的素早く調理できる利点がありますが、反面冷めやすいという性質にもつながります。
この性質を利用して飲料缶やエンジンにもアルミが使われています。
ただ、強度はそれほど強くないので落としてへこんだりすることも。
手に入りやすく、加工がしやすいので比較的安価で手に入ります。
テント設営に不可欠なペグにはチタンが有利
テントを購入するとアルミペグが付属していることがあります。
これからキャンプを始める方にはありがたいですよね。
しかし、数回テント設営を繰り返すと、アルミペグは曲がったり、先が潰れたりしてきます。
硬い地面に当たるとすぐさま変形してしまうのが困りものです。
ほとんどの方は頑丈なペグに買い替えていきます。
オートキャンプをする方は頑丈で重い鋳造のペグでも問題ありませんが、登山や軽量化を図りたいキャンパーには軽くて頑丈なチタンペグがおすすめです。
チタンがアルミより軽いといわれる理由

比重の数値を見ると、チタンよりアルミが軽いのに、クッカーなどはチタンの方が軽いと言われます。それはなぜなのでしょうか。
理由として、アルミは軽いけれど強度がそれほど強くないため、厚めにする必要があるということ。また熱伝導率がいいので持ち手などに別素材を使っていることなどがあげられます。
チタンは強度が非常に強く、薄く加工しても強度が保たれます。また、熱伝導率が低いので持ち手などが熱くなりにくく、別素材を使う必要がありません。
このことにより「チタンがアルミより軽い」となるのです。
クッカーを使うならチタンとアルミ、どちらがいい?
金属の特徴や調理方法によって変わります。
ここでは、調理や用途別に比較しました。
焼き物、炒め物はチタンよりアルミ
アルミは熱伝導率が高いのでフライパンなどを使う際、効率的に熱を伝えてくれる。
逆にチタンは熱伝導率が低いのでムラが出やすい。
アルミはチタンに比べてキズがつきやすいです。金属のフォークやヘラなどを使って調理する際は気をつけましょう。
お湯を沸かすのはチタンよりアルミ
アルミは熱伝導率が高いので、お湯を沸かすならチタンよりアルミの方がおすすめです。
チタンは熱伝導率が低いので、アルミより時間がかかってしまいます。
保温・直接食器として使うならアルミよりチタン
アルミは熱伝導率が高いので、調理後すぐはクッカーが熱くなっています。
そのまま口をつけたりは火傷の恐れがありおすすめできません。
チタンは熱伝導率が低いので、クッカーも熱くなりにくいのが特徴です。スープや即席麺など、そのまま食器として使うことができます。
焚き火で調理するならアルミよりチタン
アルミは融点(個体が液体になり始める温度)が660℃、チタンは1668℃です。
あまりないとは思いますが、長い時間、直火や炭の上に放置するとアルミは溶けてしまいます。
メスティンを使った炊飯方法もチタンとアルミでは違う

今や100円均一ショップでも手に入るメスティン。
使っている人も多いのではないでしょうか。
特にご飯を炊く場面をよく目にしますね。
固形燃料を使って半ばほったらかしで炊飯することもできます。
アルミ素材は熱伝導率が高いので、全体に熱が行き渡り、美味しく炊くことができます。
一方チタンは少し注意が必要です。
熱伝導率が低いため、固形燃料のように1箇所だけに集中して熱が当たると、熱が拡散せずにそこだけが焦げてしまいます。
対策として、炎が1箇所に集中する火器はバーナーシートを使って熱を拡散すると良いです。
または炎が広がるような火器を使うようにしましょう。
手軽に楽しみたいならアルミ、不便やロマンを楽しむならチタン
お手頃価格で万能なアルミ製のキャンプギアは、費用をかけることなく、気軽にキャンプを楽しみたい人におすすめです。
チタン製のギアは価格もアルミに比べると高くなります。
どんなシーンでどんなキャンプギアを使いたいか、どこに重きを置きたいかによってアルミとチタンの使い分けを考えると良いですね。
少し手のかかるキャンプギアを使いこなしていくロマンを感じるのも、また楽しみのひとつではないでしょうか。

学童保育のキャンプ委員をしたことがきっかけでキャンプにハマり、以来20数年夫婦でキャンプをしています。2016年に保護犬を迎えてからは犬連れキャンパーに。
ブログ「ははぶろ」ではキャンプ場の紹介や犬とのお出かけを書いています。